HOME > 現役生日本史合格術 > 「大まかにつかんで→詳細に落とし込む」日本史勉強

どのような学習法か

膨大な暗記科目である日本史の全体像を一度つかんでから、個々の時代の詳細な学習を行う学習法。多くの受験生は市販の漫画本やすぐに読める日本史云々という類の書籍を購入している。

どのような受験生層がこの学習を行っているか

日本史初学者の現役生、浪人生に多い。

実際にこの学習法で効果を上げることができる受験生層

国公立2次や早慶レベルの大学に合格できるような学力素地を持っている受験生。

ここに気づけ!

この学習法は偏差値の高い、有名大学の合格者の合格体験記によく記載されている学習法である。あたかもこの方法で勉強するといままで全く分からなかった日本史がみるみるうちに理解できて成績があがるかのような錯覚をおこす。しかし、この学習法は全ての受験生の成績を上げる万能な学習法ではない。

入試は次の年の2月には来てしまう。自ずとこの学習法では大まかな学習は早く終わらせておかなければならないという暗黙の了解がある。しかし、学力素地が低い(習慣的な学習環境がなく、知識の選別習得ができない)受験生は、そもそも何を大まかにつかんでよいのかが分からず、全体像をつかむと称して長期間にわたり中途半端な学習に終始することが多い。当然のように反復学習も怠るので知識定着もままならず、入試問題を解答できる絶対的学力すら身につかずに日本史の成績があがらないというわけである。

また、詳細に落とし込む際の学習がレベルの高い生徒が問題集などを利用して知識の「肉付け」を行うのに対し、成績の低い生徒は闇雲に用語を覚えることに終始し、学習レベル到達ポイントを見失うことが多い。復顔法をご存じだろうか?これは人間の頭蓋骨から目鼻立ちを推測して肉付けすることで生前の人間の顔形を復元する方法である。元の骨(大まかにつかんだ日本史の骨格)の部位により肉づけ(知識補充)の程度が異なるわけであるから、学習センスがないと、全ての部位に同じ肉付けを行うことになる。これでは生前の人間の顔(入試問題が解ける日本史の学力)をつけることができないのである。そもそも骨格そのものがないのであるから、まともな肉付けなどできるはずがない。

それでもこの学習法で学力を上げたいならこうやれ!

この学習法では「大まかにつかむ日本史教材」に学習の力点を置いてはいけない。その時代がどのような時代でどのような人物や身分の人間が活躍するのか程度に分かっていればよいのである。事件名や政策名はここで無理に覚えようとせず、「○○なことがあれば当然滅ぼされるよな」というイメージでおさえておく。同一性の人物なら親子関係を把握するため系図を書いておくといいだろう。もし、「大まかにつかむ日本史教材」に余計な事が多く書かれているため、上記のことを学習できないときは私の著書であるが『眠れぬ夜の土屋の日本史 史料と解説』の「解説ページ」を読んでもいいだろう。この解説箇所は次の落とし込み学習も兼ねた解説文章もあるので、より効率的である。

次に詳細に落とし込む際の学習には必ず問題集を使用することだ。決して教科書であってはいけない。なぜなら大学入試問題をベースにした問題集の問題文こそがもっともコンパクトにまとめられ効率良くかつ効果的な知識の落とし込みができるからである。この学習法で学力を上げているレベルの高い生徒は「問題集の問題文や模試の解説文を教科書代わり」「教科書を参考書代わり」に使っている。また、学校で配布された資料集なども併用し、地理的、数理的(グラフ・統計)も同時に学習するのも効果的である。国公立受験者はここまでやっておくといいだろう。なお、問題集では一定数の問題数しか問われないが、この学習で成功する生徒の多くは問題文にある人物、事件、政策などを大まかにつかんだ骨格とつなぎ合わせて全体像を認識しているのだ。こうして帰納法により受験知識の集積と構築をはかり、演繹法によって形式問題を解答していくのである。


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